幽霊に1年契約で体を貸した僕

これは僕の体を幽霊に1年契約で貸した時の話。

僕は25歳、独身だ。

営業の会社員として働いている。

ある日、仕事終わりに友人に誘われ、幽霊が出る

という噂の廃墟に肝試しにいった。

しかし、幽霊を見ることもなく解散となった。

そして帰宅し、手を洗いに洗面台にいくと、

後ろから視線を感じた。振り返ってみたが、

誰もいない。そして鏡に目を移した時、

知らない男の幽霊が僕の後ろに写っていた。

僕はびっくりし悲鳴をあげる。

するとその幽霊の男が

「そんなにびびるなよ」

と言ってきた。

僕は普通の会話をしてくる幽霊に拍子抜けした。

そして恐る恐る聞いてみた。

「あなたはどうしてここに居るんですか?」

すると、

「今日廃墟に来ただろ?

 そこでお前に目をつけたのさ」

僕「僕に、取り憑いたってことですか?」

幽霊「取り憑く契約を交わしに来たって事だ」

僕「取り憑くのに、契約なんているんですか??」

幽霊「他の幽霊はどう取り憑いてるのかは、

   知らないが、勝手に取り付くと、お祓いに

   行かれてしまうだろ?そうなったら、

   取り憑いてもすぐに成仏させられる

   んだよ。」

僕「でも、幽霊は成仏したいんでしょ??」

幽霊「おいおい、

   幽霊がなんで、死んでもこの世で

   彷徨ってるか知ってるか?

   この世にやり残した事があるからだよ。

   俺もやり残した事があるんだ。」

僕「それで僕の体に取り憑いてやり残した事を

  したいってゆうの??」

幽霊「そうゆう事だ。だがお祓いに行かれて

   しまっては、やり残した事が出来ない。

   だから契約を交わして合意の元で

   取り憑かせてほしいんだよ。」

僕「そ、そんな、僕には僕の人生があるんだぞ!

  幽霊に体を貸すなんて、そんなの絶対嫌だよ!

  悪いけど、契約なんてできないよ!」

幽霊「話を聞いてくれ、俺はあと1年であの世に

   行かなきゃならない。死んでからこの世に

   魂が居れるのは5年と決まってるんだ。

   俺はもう4年が過ぎた。誰一人として契約を

   交わしてくれなかった。俺のやり残した事

   ってのは、この世に置いてきた妻と娘に

   何かしてあげたいんだ。俺にとって、お前が

   ラストチャンスなんだ。1年だけ、俺に体を

   貸してくれ。頼む。」

僕「話は分かったけど、君にはメリットがある。

  でも僕には身体を貸すメリットは無いよね?」

幽霊「確かにそうだな。そういえば、君は何の

   仕事をしてるんだ?」

僕「営業の仕事をしてるけど。」

幽霊「そうか!俺も営業の仕事をしてたんだよ!

   成績はいいのか?」

僕「全然ダメダメさ。営業が下手くそな僕は

  給料も少ないし貯金もない。まったく

  嫌になっちゃうよ。」

幽霊「よし!分かった。自分で言うのも何だが、

   俺は営業の腕はプロ並みだったんだ。

   だから1年で君の仕事を代わりにして、

   君の貯金を5000万円にしよう。

   この契約条件でどうだ?」

僕「ん〜。確かにそれなら僕にもメリットは

  あるけど、本当に稼げるの??」

幽霊「任せとけって!

   じゃあこれで契約成立だな!」

ここから僕と幽霊の奇妙な

取り憑かれ生活がはじまる。